2.Python環境構築

2.1 Pythonのインストール

Windows

Python公式からpython-2.7.10.msiをダウンロードして、インストーラーの指示に全てデフォルトのまま従ってインストールしてください。

インストールが完了したら、Pythonのインストールディレクトリ(デフォルトだとC:\Python27)をPATH環境変数に追加してください。

Linux

デフォルトでインストールされている場合が多いので、まずはターミナルから「python」と入力してバージョンを確認してみてください。もしも2.5系でなければ、Redhat系ならyum、Debian系ならapt-get等のパッケージ管理システムを利用してインストールしてください。

Mac OS X

Windowsと同じく、インストーラーからインストールが可能です。

インストールの確認

コマンドプロンプト/ターミナルから、「python」と入力して、Python対話モードへ入ることを確認してください(バージョン情報等が出力された後、>>>で入力待ちなればOK)。なお、ここで「import this」と入力すると、Python哲学ともいうべき詩が表示されます。終了するには、Ctrl+Zを押下します(Ctrl+Cでは終了しませんので、ご注意を)。

2.2 日本語環境で使うために

PythonはUnicodeをサポートしているため、日本語をはじめとするマルチバイト文字を扱うことが可能です。しかし、Python2系では内部的にUnicodeではないため、日本語を使うためにちょっとした工夫と仕込みが必要になります。

sitecustomize.pyの配置

まずは標準出力へ日本語を書き出すときに必要な設定です。「 <Pythonインストールディレクトリ>\Libs\site-packages」フォルダの中に、「sitecustomize.py」という名前でファイルを作成し、下記の内容を記述して保存してください。

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2
import sys
sys.setdefaultencoding('cp932')

なお、ここで設定している「cp932」とはShift-JIS系の中でも機種依存文字を含むエンコーディングです。「shift_jis」では①や一部の漢字・記号を標準出力へ出力する際にEncodingErrorが出て泣く羽目になります。ちなみに、Linuxだとデフォルトがasciiになっている場合があり、どの環境においても、日本語を扱う場合はこのファイルを配置しておくのが無難です。

ファイルはUTF-8で作成する

Pythonファイル(*.py)を作成する際のエンコーディングは必ずUTF-8で作成してください。また、下記のようにファイルの1行目にUTF-8で使用するという記述を追加してください。テンプレートやスニペットとして、エディタ等に登録しておくと便利です。

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# -*- coding: utf8 -*-

文字列の前に「u」をつける

Pythonで日本語を使う際にちょっと面倒なのが、文字列の宣言です。Python2系では、文字列のデータ型がascii文字列とunicode文字列の2種類が存在し、日本語は当然unicode文字列型として宣言する必要があります。下記のように、変数宣言時には必ずuを付けるというのを習慣にしましょう。
なお、Python3系はこれが不要になりました。

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3
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# ascii文字列の場合
str = "Hello"
# unicode文字列の場合
str = u"こんにちは"

2.3 開発ツール(エディタ、IDE)

Python開発ツールのデファクトスタンダードが存在しないようです。強いて言えば、Vim/Emacsをはじめとするお気に入りのエディタを使用している方が多いようです。

エディタ

日本製では、秀丸やEmEditorなどの有名シェアウェアが構文強調表示に対応しています。その他、日本製フリーソフトでも対応してものは存在していますが自分で調べればわかるだろうということで、ここでは海外製ですがエディタをいくつかピックアップしておきます。

  • Sublime Text 3

    • シェアウェアですが、フリーで無制限に利用も可能です
  • Atom

    • GitHub製の人気エディタ
  • VisualStudioCode

    • Microsoft製のエディタ

IDE

IDEについては、PyScripterが優勢かなという印象です。お気に入りのエディタをメインで使って、構文チェックや単体テストクラスの生成&実行、デバッグはIDEを利用するなどの使い分けをするのも手だと思います。

  • PyDev

    • Eclipseプラグインとして動作。Eclipseに慣れている人向け
  • PyScripter

    • 日本語表示にも対応。Visual Studio風で扱いやすいうえに軽快に動作するIDE

2.4 補助ツールとリファレンス

IPython

Pythonの対話モード(インタラクティブシェル)にはない、様々な便利機能を搭載したシェルアプリケーションです。IDEを使わずとも、お気に入りのエディタでサクサク開発することができるのも、これがあるおかげと言えます。
インストールはpip install ipython で可能です。

pydoc

Pythonの標準ライブラリの一つで、PythonファイルからHTMLでのドキュメント生成等を行うことができます。このpydocをWebサーバとして起動させて、ブラウザから自分のマシンにインストールされたライブラリも一緒にリファレンスを閲覧することができます。

下記の内容でpydoc.batというファイルを任意の場所(デスクトップ等)に作成して実行してみてください。Python標準のGUIインタフェースであるTkを使用した小さなウィンドウが表示されますので、「open browser」というボタンを押下してみてください。こんなことがPythonだけで簡単にできることに驚くかもしれませんね。

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@echo off
@start pythonw -c "import pydoc;pydoc.gui()"

オンラインドキュメント

上述のpydocと下記のドキュメントを参照しながら、コーディングをしていくのがよいでしょう。なお、英語ではありますが、二つの目のリンクにあるクイックリファレンスも有用です。

2.5 コーディング規約

PEP-8

PEP(Python Enhancement Proposals)とは、Pythonの機能追加/改善提案のことで、これを叩き台としてコミュニティで議論・投票等を行うというプロセスになっています。このPEP-8というのが、コーディング規約の提案となっており、これがデファクトスタンダードになっています。